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技術・ソリューション

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バイオハザード防止技術

近年、生物学や医学の研究・技術の進歩にともなって、感染危険度の高い、あるいは危険度の未知な病原性微生物やウィルスが取り扱われるようになり、また、遺伝子(DNA)組み替え実験も行われるようになりました。
バイオハザード防止技術は、人間を危険な微生物感染から防護し、また、汚染が外部に広がって被害をもたらすことを防止するために、開発・設計された安全システムです。
バイオハザード防止技術の基本的な考え方は、危険な微生物の外部拡散を防ぐための封じ込め(Containment)と外界の汚染要因によって内部が汚染されないようにするための汚染要因の排除(Exclusion)です。具体的には、安全キャビネットの使用、室内圧を外界より負圧にして、汚染度の低い方から高い方へ空気が流れるようにする差圧制御、給排気のHEPAフィルタによる除菌、さらに汚染排水の加熱滅菌等を組み合わせたトータルなシステムが必要です。
一方、建物全体についても、実験室の壁や扉の気密構造、配管や配線などの気密シール、エアロック室・エアシャワー室など、種々の安全対策が厳重に施されなければなりません。

高度安全実験室における封じ込め方式

高度安全実験室における封じ込め方式

排気処理フィルタユニット

排気処理フィルタユニット

バイオハザード対策の設備・管理レベル

レベル 対象となる生物的隔離 物理的隔離の要点 設置・管理基準
病原体 遺伝子工学
P1 レベル(最低)
BSL 1
危険度
1〜2
P1 ● 実験中は扉を閉める。
●通常の微生物実験に準ずる。
①実験中は扉を閉める。
②手洗い設備を整える。
③昆虫や小動物の侵入をなくす。
④作業面を毎日かつ汚染のたびに消毒する。
⑤実験衣の着用が望ましい。
⑥実験室の中での飲食、喫煙、食品保存を禁止する。
⑦綿栓、ピペットまたは器械ピペット(器械の方がよい)を使用する。
⑧すべての汚染材(固体・液体)をすみやかに滅菌する。
⑨チフス、コレラ、ジフテリア、破傷風菌を用いる実験は各人の予防接種が必要。
P2 レベル
BSL2
危険度
2〜3
P2 ●安全キャビネットを使用する。
●エアロゾル発生の防止など、いくつかの予防措置をとる。
●オートクレーブを据える
P1 レベルの条件に次の項目を加える。
①オートクレーブを据える。
②安全キャビネットを設ける。
③エアロゾルの出る実験は安全キャビネット内で行う。
④実験中は出入口を管理し、一般の通行を禁じる。訪問者は内部の研究者の許可が必要。12歳以下の入室を禁じる。実験に関する知識をもって入室する。
⑤口によるピペット操作を禁じ、機械的なものとする。
⑥固体廃棄物(容器内のものも含む)は滅菌後に捨てる。
⑦実験衣を着たまま室外に出ない。
P3レベル
BSL3
危険度
3
P3 ● 実験室内全体を負圧にし、室外から室内へ向かう気流にする。
●安全キャビネットを使用する。
P2 レベルの条件に次の項目を加える。
①実験室は管理通路や二重扉によって一般室と隔離する。
②内装は滅菌消毒しやすい構造とする。
③室内空気を外へ出すときは、HEPAフィルタでろ過するか、燃焼処理する。
④排気を循環させない。
⑤バイオハザードの表示を行う。許可された研究者のみ入室する。
⑥特別のエアロゾル対策が求められる遠心機、ブレンダーその他の機器はフードや隔離された部屋内で操作する。
⑦前ボタンの実験衣はよくない。手袋をつけ、靴をはきかえる。
⑧真空系は、フィルタと液体トラップを通す。
⑨実験操作終了とともに、安全キャビネットおよびその他の機器を滅菌する。
⑩関係のない生物は持ち込まない。
P4レベル
BSL4
危険度
4
P4 ●実験室内全体を負圧にし、室外から室内へ向かう気流にする。
●クラス皿の安全キャビネットを使用する。
●空気遮断装置やシャワー室を設置し防護服などを着用する。排気は独立した系統とする。
●高度安全実験室とも呼ばれる。
P3 レベルの条件に次の項目を加える。
①高度感染性のある微生物用に特別作られた室とする。
②両扉式のオートクレーブとし、実験室外へ出すときは全てオートクレーブを通す。
③実験室は負圧とし、すべての空気はHEPAフィルタを通して排気する。
④廃水はすべて滅菌装置を通す。
⑤安全キャビネットは、クラスⅢのものを使用する。
⑥室内照明は天井にシールして埋め込まれる。
⑦真空系はHEPAフィルタを通す。
⑧研究者は別室に入り、シャワーを浴びて特別に作られた予防衣(使い捨ての予防衣、足カバー)に着替え、足用消毒層を歩いて、外部とエアロックされた実験室に入る。終了後は逆の順に普通の衣服に着替える。

BSL3 システム概念図 実施例

BSL3 システム概念図 実施例

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