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「計装」のプロに聞く

設備工事の 知られざる名脇役 計装技術の最新事情 株式会社テクノ菱和 環境ビジネス本部 清水和彦

ハイテク化が進む現在の工場では、ほんのわずかな温度や圧力の変化が製品の品質に大きな影響を与えることがあります。また、パイプの中を流れる液体や気体の量を正常に保つことも安全上求められます。これらに配慮した生産設備を作るためには、「計装(けいそう)」と呼ばれる技術が必要です。テクノ菱和でも専門の部門を設けて計装技術を提供しています。

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電気×設備の専門工事

──「計装」とは耳慣れない言葉ですが、意味を教えてもらえますか?

 「計装」というのはプラント用語で、温度や圧力などを計測して制御する装置を備えることを指します。「計」器を「装」備するから計装です。建築業においては、計装工事のことを自動制御設備工事とも言います。でも、最近は自動制御というより計装という呼び方のほうが一般的になりつつありますね。

──昔から使われている言葉なんですか?

 そうですね、プラント関係では古くから使われている言葉です。温度や圧力を一定に保つ仕組みは製造プロセスにはなくてはならないもので、当社も設備を納めるにあたっては必要不可欠なものとして取り組んでいます。

  ただ、計装工事というのは、ちょっと位置付けが特殊なんですよ。ケーブルを引き込んだり、制御盤を作ったりという計装工事は、我々のように機械設備を主に手がけている者にとって、唯一電気工事に近い仕事なんです。じゃあ、純粋に電気工事かというと、それもちょっと違う。計装工事の場合は、もっと微弱な電流を扱ったり、設備そのものを動かす仕組みを作ったりといった工事が主になります。言ってみれば、電気工事でもなく設備工事でもなく、その両方でもあるような存在が計装なんです。このため、計装工事そのものが専門工事という位置づけで、設備工事業者としても専門業者さんにお任せしがちな領域なわけです。

──そういう中で、テクノ菱和が独自の計装部門を持っている理由は?

 そもそも設備をコントロールする仕組みですから、計装技術は欠かせません。さらに、高精度な自動制御が求められるときは、高度な設備的知識と計装的専門知識の双方を必要とするので、外部に任せていると、なかなかうまくいきません。当社は計装技術部のほか東京本店と名古屋支店、大阪支店の設計部に専門スタッフを置いています。トータルに設備の品質を高めることが、独自の計装部門を持つ目的ですね。

重要なのはノウハウの蓄積

──「高精度な自動制御」の具体例と、それに対処する難しさについて説明してください。

 たとえば、室圧制御の技術で言うと、0.1ヘクトパスカルという誤差の中で収めなきゃいけない、そんな高精度が要求されることもあるわけですが……

──0.1ヘクトパスカルですか……実感としてわかりませんね(笑)

 ですよね(笑)。コップの水をストローで「フゥー」と吹いて、液面を1ミリメートル下げるぐらいの圧力です。それぐらい微弱な圧力をコントロールするとなると、単に計器について専門知識があるだけではだめで、制御のアルゴリズムやダクトの構造なども把握しておくことが必要です。しかも、設備は物件ごとに異なり、ひとつとして同じものはありません。ひとつひとつの設備に合ったシステムを構築するためには、どれだけノウハウを蓄積しているかが重要になります。そのあたりが難しい。腕の見せどころですね。

──今までの苦労話や成功事例などのエピソードがあれば、教えてください。

 失敗談はいっぱいあるんですけど(笑)。失敗を肥やしにして成長してきたところがありますから。若いころですが、クリーンルーム内の湿度を一定に保つため、空調機に蒸気を供給するバルブを制御するシステムを納めたことがありました。ところが、あるとき不具合が発生して空調機の停止中にバルブが開いて蒸気が出っぱなしになってしまったんです。急いで駆けつけましたが、室内も非常に高価な半導体の製造装置もビショビショで……それが一番ショックな経験でした。

  成功した話というのは、難しいですね。成功して当たり前みたいな仕事なので。冷凍機が数十台、1万数千冷凍トンという非常に大きい熱源をうまくコントロールできたことは、達成感のある仕事として印象に残っています。

──計装についてテクノ菱和の得意な点、独自の技術などはありますか?

 計装のノウハウを取り込んで、それをソフト的に処理して制御する「デジタルコントローラ」というものがありますが、そういうデジタル技術はいち早く手がけてきました。独自に開発した商品としては、テックビームスのような中央監視システムやクラウド・コンピューティング型リモート計測システムのアールセカンドサイトなどがあります。

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柔軟な発想で最新デバイスも導入

──最近の計装の動向について教えてください。

 震災以降、節電の需要が増していますが、実際に電力をどれくらい使っているのかを把握しないと効果的な節電はできません。そのためには、いまお話したアールセカンドサイトのような「見える化」システムが役立ちます。また、より広域、社会的なエネルギーの効率利用という点では、再生可能エネルギーとITと電力網を組み合わせて効率的な電力供給を行う「スマートグリッド」も注目されています。ビルで使用される電力の半分ぐらいを占めているのは空調です。スマートグリッドを実現するためには、ビルの空調エネルギーをどううまく使うか、というところで計装の技術が活きてくるでしょうね。

  さらに、最近はクラウド・コンピューティングと携帯端末を利用する事例も増えてきました。計測データをクラウドに転送して、タブレット型コンピュータやスマートフォンに表示するシステムです。将来的にはiPadやスマートフォンで工場設備を操作することが一般的になってくるかもしれません。軽くて持ち運びできるし、普通のPCよりずっと起動が早い。それにこれで操作するって何かかっこいいでしょ(笑)。

──若い世代のエンジニアに向けて何かメッセージはありますか?

 とにかく技術的なチャレンジをしてほしいですね。大きなチャレンジじゃなくてもいいんです。細かなチャレンジの積み重ねが実力になるんじゃないでしょうか。何もないところから何かを生み出すのは難しい。でも、世の中にはiPadみたいに新しい道具がどんどん出てきますよね。この道具が何かに応用できないかと好奇心をもって発想することが大切です。

  たとえば、最近は安価なWebカメラが普及しています。遠隔でどこかの温度を見たいという時に、温度センサーを使ってまともに実現しようとすると、それなりの費用がかかる。でも、計器をWebカメラで撮影すれば、簡単に遠隔で温度を確認できます。しかも、今は写した画像をデジタル処理してデータ化できる。携帯電話で名刺を撮影してデータとして蓄えておくのと同じ要領です。今、このシステムの実用化に取り組んでいるところです。

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