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「静電気防止」のプロに聞く

不意の「パチッ」はどう防ぐ? 最先端の静電気除去技術 株式会社テクノ菱和 主席研究員 鈴木政典

ドアノブなどを触ったとき「パチッ」っとくる静電気。冬になると悩まされている人も多いのではないでしょうか。静電気の害は、日々の生活で人間に不快感をもたらすことだけではありません。生産現場では、不良品発生や事故につながる原因として、徹底的に静電気を排除しなければならない場合があります。テクノ菱和も、これまでさまざまな静電気対策技術の開発に取り組み、海外も含め30件の関連特許を取得しています。

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いつでもどこでも発生する静電気

──静電気のしくみについて簡単に教えてもらえますか?

 物体と物体が接触したときに、その間で電子の移動が起きます。電子が動きやすい物質と動きにくい物質があって、それを接触させると、動きやすいほうから動きにくいほうへ電子が移動するんですね。電子はマイナスなので、電子を受け取ったほうはマイナスに帯電し、逆に電子が離れたほうはプラスに帯電します。帯電したものは同じ極性だと反発し合い、違う極性だと引き合います。

 静電気現象はいつでもどこでも起こっています。今こうしてインタビューを受けている間でも、部屋のどこがで絶えず静電気は発生しているんです。

 でも、静電気というと「冬に発生する」というイメージですよね? 冬は湿度が低いため静電気が大地に漏洩しにくい。つまり静電気を溜めやすくなるので、放電が起きたとき瞬間的に多量の電流が流れます。これが「パチッ」っという、あの嫌な現象です。静電気自体は一年中どこでも発生していますが、乾燥した冬の時期になると、放電という形で人間が感じやすくなるということです。

──生産現場で静電気が発生すると、どういう悪影響があるのですか?

 静電気を帯びているもの同士がくっついて起きるトラブルと、放電によるトラブルです。

 半導体や液晶の製造現場では、基板が帯電していると、そこに細かいホコリがくっついて結果的に不良品になってしまうことがあります。また、粉末の医薬品を製造している工場では、薬を容器にうまく充填できないといったことが起こります。ほかにも塗装ムラや異物混入など、静電気のくっつく力は、さまざまなトラブルの原因になります。

 放電が問題になるのは電子部品を扱う現場です。静電気の放電によって瞬間的に多量の電気が流れると、LSIの回路などが破損してしまう危険性があります。

 生産現場の至るところで静電気問題は起きていますね。

──そういう場合の静電気対策には、どのようなものがあるのですか?

 いちばん簡単なのがアースです。家電製品でも行われている一般的な方法ですね。家電製品の場合は漏電による感電を防ぐのが目的ですが、静電気対策としては、溜まった静電気を地面に逃がすために使われます。

 ただし、アースが有効なのは金属製の装置などだけです。ガラスやプラスチックは、アースをしても静電気を逃がすことはできません。それに、人体には静電気が溜まりやすいのですが、歩き回っている作業者全員にアースをすることは現実的でないという欠点があります。

 もうひとつの方法としては、湿度を上げるやり方ですね。冬に静電気放電が起きやすいことは言いましたが、それと逆の状態にしてやればいいわけです。加湿器を使ったり床に水を撒いたりといったことは、主に印刷工場などでも行われています。

 あとはイオンを利用して除電する方法で、当社の手がけているイオナイザーがそれに相当します。

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イオンのシャワーで静電気を除去

──イオナイザーのしくみを簡単に説明してください。

 空気中の分子をバラバラに電離させてプラスイオンとマイナスイオンを作り、これを帯電した物体に当てることで電気的に中和させるのが基本的なしくみです。

 空気分子をバラバラにする方法として、コロナ放電というのがあります。これは尖った電極に高電圧をかけて発光放電させ、それによってイオンを得るやり方です。この電極を並べたものを製品の上に置いて、イオンをシャワーのようにかけると、プラスに帯電した物体はマイナスイオンで、マイナスに帯電した物体はプラスイオンで中和されます。

──テクノ菱和独自の技術というのはあるのでしょうか?

 当社の場合、クリーンルームで使うイオナイザーというのが前提にありました。

 以前のイオナイザーには致命的な欠点があって、コロナ放電すると、どうしても細かい塵が出てしまうんです。クリーンルームにとって塵は大敵ですから、これをなくすにはどうすればいいかというので開発されたのが「シースエア式パルスACイオナイザー」です。電極の周りを高純度のガスで覆う方法により、従来イオナイザーに比べて大幅に発塵が少なくなっています。

 コロナ放電式のイオナイザーでも対応できない場合には、別の方式のイオナイザーを使用することになります。

──それは、どういう場合でしょうか?

 防爆施設の場合ですね。有機溶剤などを使っていて可燃性ガスが発生するプラントでは、電気火花が出るような設備は厳禁です。コロナ放電はプラズマ現象の一種で、着火源になってしまう危険性があり、使うことができません。

 そういう場所では、微弱X線イオナイザーを使います。長波長のエックス線を当てることでイオンを発生させる装置で、この方法なら火花が出ないので安心です。しかも、遮蔽構造を持っている微弱X線イオナイザーは当社が初めて開発しました。

 シースエア式も、このX線式も、両方当社の特許です。

──開発の苦労話などありましたら、お聞かせください。

 この低発塵イオナイザーを開発したあと、実際に発塵が少ないことを測定しなければいけないのですが、加速試験(製品を過酷な条件下で使用して短期間に劣化を検証すること)ができないので、1ヵ月ほどずっと運転し続けて、発塵データを調べたことがあります。苦労したことと言えば、それぐらいでしょうか。

 あと、笑い話ですが、遮蔽構造を持ったX線イオナイザーを開発したてのころは、みんな被曝すると思っておっかなびっくりで機械に触っていましたね。実際には、簡単な遮蔽で100%X線をカットできるので安全なのですが。

──イオナイザーの今後の課題は?

 イオナイザーの性能自体は非常に高くなっています。でも、お客様の要望も高くなっていますから、さらに高性能を追求しなければなりません。もっとスピーディーかつ確実に静電気除去できること、もっと発塵を少なくすることが必要です。さらに、コスト面でもより安くできればベターですね。

 静電気で物が付着したり、放電が起きたりという物理現象は、人類史上古くから知られています。それが今もなお最先端の生産現場で問題になっている。静電気対策は古くて新しい問題と言えるかもしれません。

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