──イオナイザーのしくみを簡単に説明してください。
空気中の分子をバラバラに電離させてプラスイオンとマイナスイオンを作り、これを帯電した物体に当てることで電気的に中和させるのが基本的なしくみです。
空気分子をバラバラにする方法として、コロナ放電というのがあります。これは尖った電極に高電圧をかけて発光放電させ、それによってイオンを得るやり方です。この電極を並べたものを製品の上に置いて、イオンをシャワーのようにかけると、プラスに帯電した物体はマイナスイオンで、マイナスに帯電した物体はプラスイオンで中和されます。
──テクノ菱和独自の技術というのはあるのでしょうか?
当社の場合、クリーンルームで使うイオナイザーというのが前提にありました。
以前のイオナイザーには致命的な欠点があって、コロナ放電すると、どうしても細かい塵が出てしまうんです。クリーンルームにとって塵は大敵ですから、これをなくすにはどうすればいいかというので開発されたのが「シースエア式パルスACイオナイザー」です。電極の周りを高純度のガスで覆う方法により、従来イオナイザーに比べて大幅に発塵が少なくなっています。
コロナ放電式のイオナイザーでも対応できない場合には、別の方式のイオナイザーを使用することになります。
──それは、どういう場合でしょうか?
防爆施設の場合ですね。有機溶剤などを使っていて可燃性ガスが発生するプラントでは、電気火花が出るような設備は厳禁です。コロナ放電はプラズマ現象の一種で、着火源になってしまう危険性があり、使うことができません。
そういう場所では、微弱X線イオナイザーを使います。長波長のエックス線を当てることでイオンを発生させる装置で、この方法なら火花が出ないので安心です。しかも、遮蔽構造を持っている微弱X線イオナイザーは当社が初めて開発しました。
シースエア式も、このX線式も、両方当社の特許です。
──開発の苦労話などありましたら、お聞かせください。
この低発塵イオナイザーを開発したあと、実際に発塵が少ないことを測定しなければいけないのですが、加速試験(製品を過酷な条件下で使用して短期間に劣化を検証すること)ができないので、1ヵ月ほどずっと運転し続けて、発塵データを調べたことがあります。苦労したことと言えば、それぐらいでしょうか。
あと、笑い話ですが、遮蔽構造を持ったX線イオナイザーを開発したてのころは、みんな被曝すると思っておっかなびっくりで機械に触っていましたね。実際には、簡単な遮蔽で100%X線をカットできるので安全なのですが。
──イオナイザーの今後の課題は?
イオナイザーの性能自体は非常に高くなっています。でも、お客様の要望も高くなっていますから、さらに高性能を追求しなければなりません。もっとスピーディーかつ確実に静電気除去できること、もっと発塵を少なくすることが必要です。さらに、コスト面でもより安くできればベターですね。
静電気で物が付着したり、放電が起きたりという物理現象は、人類史上古くから知られています。それが今もなお最先端の生産現場で問題になっている。静電気対策は古くて新しい問題と言えるかもしれません。













